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2010年9月26日

光文社古典新訳シリーズ(7)

だんだん出版のペースに追いつきつつある古典新訳シリーズ。読み終わっちゃったらどうしよう・・・

(61) 夜間飛行(サン=テグジュペリ):2回目。でも前に読んだ時とずいぶん印象が違う。命より大事な使命がある筈、愛するだけでは行き詰る、という説に若い頃はそうだそうだ!と思ったのだろうが、今読むとそんなに大事なものがあるか?という気も。一般市民にはないものなのかも。

(62) マクベス(シェイクスピア):何度目か。橋爪功の後書きが一番面白かった(おいおい)。マクベスってスコットランドの史実がベースなんだね。年表にマクベスの王様の名前を見つけて、こいつかーと納得。玉座というのはどうしても血に染まるものだ。それでも平気でないと王様は勤まらないのだろう。

(63) ハムレットQ1(シェイクスピア):Q1はQuote1バージョン、と言う意味なのだそうで。とても短く判りやすいハムレット。人物描写が浅いと言えば浅いのかもだけど、すっきり判ることは舞台脚本として一番大事なのではないかな。

(64) 罪と罰(ドストエフスキー):2度目。新訳全然読みやすい!昔読んだ時よりしみじみと頭に入るのは、日本も貧富の差が進んだせいなのか、神経症への理解のせいか。最後に希望が見えるのも良いですな。

(65) 貧しき人々(ドストエフスキー):往復書簡で描くおじさんと娘さんの交流と破綻。貧しいと言うことは哀しいことだなぁ。金持ちの求愛を受け入れてからの豹変が見事。こういうものなんだろうなぁ。

(66) 闇の奥(コンラッド):ベルギー領コンゴの象牙を巡る暴虐。人間はここまでになってしまえる、ていうか闇の奥だからなぁ・・・

(67) シラノ・ド・ベルジュラック(ロスタン):何度目かの筈なんだけど、脚本だったんだっけ?シラノよりクリスチャンが可哀想だ。美男で口下手なだけなのに。悪いのはロクサーヌなのだが、ロクサーヌの気持ちも良く判る・・・

(68) 月と6ペンス(モーム):読んだはずだがサッパリ記憶なし。月と6ペンスとは月とすっぽん、というような意味らしい。ゴーギャンがモデルだそうだが、ゴーギャンには見えない気がするんですけど。破滅的芸術家とイギリス人、という取り合わせが今ひとつしっくり来ない。

(69) 天使の蝶(プリーモ・レーヴィ):初めて。アウシュビッツ経験者によるSFというか科学味ショートショート。米国会社のセールスマン、シンプソン氏が売り込みに来るシリーズがすごく面白い。最後の擬似感覚装置は昨今のアバター症候群を彷彿とさせます。

(70) 天来の美酒/消えちゃった(コッパード):これもショートショート風。は?それで?と思うオチもあるけど、「消えちゃった」は面白い。とても印象的。

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