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2013年12月8日

「読み直す1冊」シリーズ(6)

今までに比べるとぐっと短いのばかりでさくさく進む松丸文庫シリーズ。年代順に並んでいるんだけど、光文社古典で読んだ「クリスマス・キャロル」、「貧しき人々」、「嵐が丘」、「ジェーン・エア」についてはパス。

(26) 北越雪譜(鈴木 牧之/岡田 武松:岩波文庫):質屋の老主人による雪深い越後(塩沢)の生活を紹介した江戸時代の本。山東京山が共著な感じ。テレビや映画はもちろん写真もない時代、他所の人から見るとうっそー!!だったんだろうなぁ。1年の半分が雪。今もそうなのかな?そうなのかも。塩沢縮って見てみたくなった。東西遊記が数か所参照されている。

(27) モンテクリスト伯(デュマ/山内義雄:岩波文庫):小学生の頃、子供文学全集みたいので読んだ。お鍋の取っ手でトンネルを掘るくだりを良く覚えている(やっぱり食べ物絡み・・・)。こんな話だったかー。子供向けに省略したこともあったんだろうけどね。伯爵神出鬼没過ぎと思う。ラストはロマンチックだが、救いがあるようなないような。あんないいヤツがイギリス人の筈はない、とか、イタリアでは爵位は金で買える、とか、今読むとフランスの大衆小説なんだなーと思える。しかし登場人物がみんなよく書けていてやっぱり面白い。

(28) 白鯨(メルヴィル/田中西二郎:新潮文庫):読んだ気になっていたのだが、読み始めてみて読んでないことに気が付いた。「老人と海」とごっちゃになってたみたい(あれは鯨じゃないってば)。小説というかNHK特集みたい。科学的説明や文化背景とかの記述が多い。小説としてはちょっと変かも。伏線が十分張ってあるので衝撃のラストは想像がついてしまう。ちなみに出港地のナンタケットって、ウェッジウッドの柄として知ってたけど、イギリスのどこか田舎なんだと思っていました。アメリカなんだねー。しかもナンタケット・バスケットって元は素朴なものだったらしいけど、今では超高級品らしい。びっくりー。

(29) 悪の華(ボードレール/堀口 大學:新潮文庫):詩集。ずいぶん大時代な訳だな、と思ったら堀口大學だった。格調は高いんだけど意味の分からない日本語が多すぎだよー(笑)。もっとも当時の日本人だと判った言葉なのかどうかも知らないけど。現代の感覚ではちっとも過激ではないのだが、神に祝福されなそうな不真面目な恋(不倫とか売春婦とか遊びっぽい恋)が主題だから問題だったのかね?カッコイイ人だったんだろうな、と思う。私の好みではないがね。

(30) ろうそくの科学(ファラデー/竹内 敬人:岩波文庫):前出のボードレールとは大違いで、謹厳実直しかも苦労人の叩き上げ科学者、ファラデー教授が少年少女のために科学について講演したもの。安心してお子様にお勧めできる科学の入門書。今読んでも素直に面白いです。言葉ではわかったつもりでも案外ちゃんと理解できてないことって多い。不思議だよねーという気持ちも大切にしつつ、論理だけじゃなく実験で自らいろいろ見つけていくべきだ。そうだそうだ賛成だ。ファラデーって「ファラデーの法則」の人だと思ってたけど、とんでもなくいろんな成果を上げてるんだね。しかも教育者としても優秀。素直に尊敬。

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