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2016年12月6日

読み直す1冊シリーズ(13) 最終回!

年内には読み終わると思ってたけど、やっと最終回を迎えました。
1回目をアップしたのが2011年の8月。読み始めてからだと5年半ってところだろうか。あれからいろんなことがあったなぁ・・・

最終回は12冊です。1冊は読んでない。だって漫画なんだもん。図書館に置いてないよ。

(101) 樅ノ木は残った(山本周五郎:新潮文庫):初めて。NHK大河ドラマ化されたのを見たのかもしれないけど記憶にありません。主人公の原田甲斐を演じた平幹二朗が先日亡くなったので、昔の映像が出ていて、似合ってるなー、と思った。ドラマチックで謎を含んだ展開。ほとんど一気に読んだ。面白かった。でも暗い話だよなぁ、と思ってたら、大河ドラマも暗いと言われていたらしい。確かに、樅の木は残ったんだけど、家というのはそうまでして守るべきものだったのか?悲しいな、甲斐。

(102) 金閣寺(三島由紀夫:新潮文庫):前にも読んだ。つらい話だな。事実をベースにふくらませて書いたんだって。うまいよね。作り話としか思えん。(褒めてる?)

(103) クレーの日記(パウル・クレー/高橋文子:みすず書房):文庫はなくハードカバーで。すごく重たい本だった(物理的に)。画家のポール・クレーの日記。革新的なアーティストって若い頃からすごい!!でも恋愛模様は普通(笑)。スイス人なのにドイツ兵だったのね。バウハウスとカンジンスキーと。スイスとドイツってこんな間柄だったのか。まー距離も近いし。スイスのドイツ語圏に住んでいると、ドイツの学校に通って、恋人も友達もドイツ人ってことはよくあることなんだろうな。島国日本とは違う。

(104) 路上(ケルアック/福田実:河出文庫):いかにもアメリカ!そのまんまロードムービーだなぁ。ビートニクという言葉は知っていたがこういうやつだったのか。ヒップスターがヒッピーだったのか。いい悪いはともかく、いかにもある時代のアメリカを切り取った作品。

(105) わたしが子どもだったころ(ケストナー/高橋健二:岩波少年文庫):ケストナー少年文学全集の最後に当たる。エーミール探偵のシリーズなら、たぶん読んだ筈なんだけど、全然覚えてない。ケストナー一家の歴史をたどる話。ドレスデンの人だったのか。ドイツ人の商売人(アンナみたいな)と一人っ子の気遣い。うーむ。読んで損はないが、子供の時には読まなくてもいいと思う。

(106) チャップリン自伝(チャップリン/中野好夫:新潮文庫):私が読んだ新潮文庫は、「若き日々」とタイトルに付くもので、つまり自伝の中でも若い時に苦労してスターへの道のりを歩き始めるところで終わってしまっている。でもたぶん感動するのはここまでなんだろう。あとはビジネス本になっちゃうのかも(笑)。しかしチャップリンって子供のころ苦労したのな。そして案外ハンサムじゃないか。底辺に近いイギリス人だったのね。なるほど。アメリカ人ってこういう人たちから成るんだろうな。映画好きじゃなくても普通に感動できる本。

(107) 黒い雨(井伏鱒二:新潮文庫):たぶん3度目だと思う。4年前に広島に行ったので、地名が頭に入って、前に読んだ時より生々しさが数倍増して感じられる。読み直してみると、構成がうまいよな。素直にあったことを書くのではなく、昔のことを思い出しながら書く。それも、原爆が落ちた時には市内にはいませんでした、という証明のために。しかし市内にはいなかったのに、雨に打たれたために原爆症になってしまう。重いなぁ。原爆はやっぱりいかんなぁ。空爆も良くないけどさ。

(108) 生きがいについて(神谷美恵子:みすず書房): 愛生園(ライ病患者のいるところ)で生きがいについて学ぶ。そりゃ、どこでもどんな境遇でも生きがいを持ってい人といない人はいるんじゃないかね。こんな状況では生きがいは持てっこないと思い込む方が独善的な気がするんだけど。

(109) 百年の孤独(ガルシア・マルケス/鼓直:新潮社):焼酎になっているから名前だけは知ってたんだけど。読むまではスペイン内戦の話だと思っていたし、読み始めたらアフリカの話かと思った。コロンビアなのね。先日カストロ元議長の訃報があったばかり。こんな感じだったのかなー、と思いながらほぼ一気に読んだ。ドキュメンタリーではない。むしろファンタジー(怪奇小説?)な部分も多い。でも深い。こんな名作を文庫で読めないのはいかがなものか。

(110) 裸のサル(D・モリス/日高敏隆:河出文庫):ヒトに対する動物行動学考察。ヒトは高度にセクシーであることを特徴とする動物である。確かにその他の行動に比べて、性行動は案外変化してないのかも。ううむ。肉食から菜食に「戻る」というなら、ベジタリアンは1日中モグモグしてないと「自然」ではない。確かに。

(111) ゴッド・ファーザー(マリオ・プーズォ/一ノ瀬直二:ハヤカワ文庫):止められずに一気に読んだ。素直に面白い。いかにもハリウッド向き。シチリアマフィアの話なのは知ってたけど、ほぼアメリカの話なのね。著者もイタリア人ではなくイタリア系アメリカ人。長男がSantino、次男がFredelicoときて、なんで三男坊がMichelなんだよ。Michele(ミケーレ)じゃないとおかしいだろ。そしてこの三男坊が堅気を目指すも兄の死により組織を相続し、アイルランド系アメリカ娘と結婚して、最後は悪事からは手を引いて普通の「大企業化」に成功するのだった。ここで物語は終わり(映画は続く)。そりゃアメリカ人にウケるだろうよ(笑)。読んでいる間中、そして今これを書いている間も、「愛のテーマ」が頭の中に鳴り響いています。

(112) ヘリオット先生奮戦記(ヘリオット/大橋吉之輔:ハヤカワ文庫):獣医さんが自分で書いた実話に基づく獣医さんの話。舞台はイギリスの田舎。自動車はあるけど、農耕馬や馬車はまだまだ残っている時代。今でも大きく変わっていない部分はあると思う。一番笑ったのは、この薬を出していたら、診断が付かなかったってことだ、という記述。大きい声では言えないけど、そういうことはままあるだろうなぁ。わかんないからまた来てください、とは言えないしさ。

ちなみに読まなかった1冊は白土三平の忍者武芸帳。いわゆるカムイですね。真剣に読んだことはないけど、ちょっとは読んだことがあると思う。たぶん。

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